2017年9月19日火曜日

C/GMRESによる非線形モデル予測制御1

今回は珍しく2部構成で,本記事ではシステムの立式から評価函数の設定まで,次の記事では具体的な解き方について述べます.

第1部となる本記事ではC/GMRESの核となる部分には言及しないため,そちらについては2部以降を見ていただければと思います.


非線形モデル予測制御(Nonlinear Model Predictive Control; NMPC)とは,その名の通り”状態方程式が非線形なシステム”に対するモデル予測制御(Model Predictive Control; MPC)です.

最近流行りの制御則で,車の自動運転やロケットの再着陸システムにも使用されているそうです.

MyEnigmaさん
モデル予測制御(Model Predictive Control:MPC)の応用例

そもそも制約有りのMPCは非線形な制御系ですが,”非線形MPC”といった場合には“制御対象が非線形”な系を指すように思います.

線形のモデル予測制御については別途,記事に起こすつもりです.

通常,線形MPCでは,システムの表現に以下のような線形な状態方程式を使うのに対して,

非線形MPCでは状態方程式の形式を問わず使用でき,以下のような形式で表現されます.

これはセミアクティブダンパの状態方程式ですが,式中にという“状態変数と操作量の積”が含まれています.少し考えるとわかりますが,線形の状態方程式に書き直すことはできません.

実際,このシステムを制御する際に単純に線形MPCを適用することはできません.
このような,非線形なシステムの制御を目的としたMPCが非線形MPCです.

非線形MPCの中にも種々ありますが,ここではC/GMRESによる非線形MPCについて取り上げます.

ただ,このシステムは減衰が操作量なのでダンパとして動作させること自体はPID等でも可能です.というよりずっとONにしておけばよいのです.しかし,できるだけ少ない操作量で最大の減衰を得よう,などと考え始めるとちゃんと制御する必要があります.